金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

Red tape (イディオム・シリーズ)

2008年06月20日 | 英語

Red tapeとは「赤いテープ」のことで、過剰な形式主義を揶揄した言葉である。英国で書類の束を赤い布製のテープで束ねて保管していたことから、Red tapeが過剰な文書主義・形式主義を指すようになった。

エコノミスト誌が英国政府による「空売り規制」を批判する記事の中で次のように書いていた。

Unlike going long, actively betting against a share price involves red tape and runs the risk of unlimited losses.

株式の買い持ちと違い、株価の下落を予想して積極的に投機する(空売りをする)ことは、当局が求める過剰な手続に巻き込まれ、又際限のないリスクを担う可能性がある。

Run the risk of~ は「~というリスクを負う恐れがある」だ。何故空売りをすることが際限のないリスクを負うのか?というと、空売りした株は買い戻さないといけないが、株価は理屈の上では際限なく上昇する可能性があるからリスクも際限がないということだ。

Red tapeに話を戻すと、英語で官僚主義を表すBureaucraticの行き過ぎたものと言うことができる。中国語では煩瑣的規章というが、これは我々が読んでも意味が良く分かる。本来は役所に使う言葉であるが、古くて硬直化した大企業を揶揄した「大企業病」という言葉がるが、これもRed tapeと表現して良いだろう。

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Pull off(イディオム・シリーズ)

2008年06月20日 | 英語

Pull(引く)など短い動詞に前置詞が付いた言葉は多くの意味があるので、文脈の中で判断するしかない。

Short-selling is difficult strategy to pull off, because in the  long run stockmarket tends to rise.という文章がエコノミスト誌に出ていた。意味は「(株の)空売りは成功するには難しい戦略だ。何故なら株式市場は長期的には値上がりする傾向があるからだ」ということだ。

ここのPull offは「成功する」という意味の俗語で、「勇気を持って」とか「抜け目なく動いて」成功させるというニュアンスを持っている。

空売りは株価が下落しそうな会社の株を借りてきて、売りたて値段が下がったところで買い戻すので、抜け目がないと出来ない技ということだろう。

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Play havoc with (イディオム・シリーズ)

2008年06月19日 | 英語

Havocとは「大混乱」「(天災・暴動などによる)大破壊」を意味する。ファイナンシャル・タイムズにInflation is playing havoc with the rest of the economyという文章があった。「インフレは残りの経済に大きなダメージを与える」と言う意味だ。残りとは何かというと前にオイルとコモディティ(穀物・鉱産物など)以外ということ。

Havocが持つ「混乱」から「破壊」の幅はかなりあるようだ。Dictionary.comというオンライン英々辞書には、The wind played havoc with the papers on the desk.という例文があった。「これは風で机の上の書類が飛び散った」ということで「混乱」という程度のニュアンスだろう。

又The bad weather played havoc with our vacation plans.という文例も出ていた。こちらは「悪天候で我々の休暇プランは台無しになった」というニュアンスでかなりシリアスな状態だ。

さて今回のインフレが我々に与えるHavocの程度はどれ位だろうか?混乱程度で済むのか?あるいは経済の大破壊にまで至るのだろうか?当該記事を書いた人のニュアンスを理解するのは大変だ。あるいはワザと幅のある表現を使ったのだろうか?

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機関投資家、キャッシュポジションを増やす

2008年06月19日 | 株式

ファイナンシャルタイムズ(FT)は、メリルリンチが世界の204の資産運用会社に調査をかけた結果を報じている。それによると機関投資家達は過去10年間で最も悲観的になっている。ネガティブなセンチメントの度合いは、現在よりも激しい株価下落を見た2000年から2003年のベアマーケットを上回っている。

5月の高値以来FTSE100はほぼ10%近く下落している。投資家はスタグフレーションの懸念から株式・債券双方のエクスポージャーを落としている。調査対象のファンドマネージャーの27%は株式をアンダーウエイトし、42%はキャッシュをオーバーウエイトしている。

81%の回答者は向こう1年間の企業収益に関するコンセンサス(予想平均)は高過ぎると判断している。

メリルのチーフエコノミストは「投資家達はオイルとコモディティが株式市場で主役を演じると考えている。これはインフレが経済を混乱させ困難に陥らせることを示している。

ユーロ株式はこの1年間で最も投資家が好んだセクターから、最も回避するセクターに変わった。これはユーロ高に対する懸念が原因。

62%の回答者はオイル・ガス業界をオーバーウエイトし、62%は銀行セクターをアンダーウエイトしている。

☆     ☆      ☆       ☆

「戦略的な誤りを局地戦で挽回することは出来ない」というのが、戦争と投資の基本である。株というものは、企業業績がだけで値上がりするものではない。投資家が買ってこそ値上がりするものだ。

ここ暫くはグローバル株式相場は重たいだろう。しかし機関投資家のセンチメントはコロコロ変わる。機関投資家とは本来キャッシュポジションに資金を遊ばせることが出来ないものなので、原油の増産目処が立ち、価格が下落し始めると急速に株式に資金がシフトする可能性は高い。それが何時かを予想できると勝ちまくるのだが、そうは行かないところが、悩ましくもあり又面白いということだろう。

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海底油田は政治の季節

2008年06月18日 | 社会・経済

新聞によると日中政府は東シナ海ガス油田の共同開発案で最終合意に達し、今日中(18日)にも正式発表するということだ。日中間の排他的経済水域問題は未決着だが、境界線問題を棚上げして共同開発に入るというものだ。私はガス油田開発による経済的効果よりも、日中関係改善のマイルストーンとして、政治的効果が高いと考えている。

海底油田問題は米国でも政治の争点になりそうだ。というのは昨日共和党のマケイン大統領候補が昨日ヒューストンで「海底油田開発を支持する」と演説したことに端を発する。米国の海底油田開発については1990年の先代ブッシュ大統領が海底油田の開発禁止命令を出しているが、原油価格高騰に伴い共和党議員の中から禁止命令の廃止を求める声が高まっている。ブッシュ大統領は今日議会で禁止命令の廃止を求める演説を行う予定だ。このブッシュ大統領の動きで海底油田開発問題は一機に政治の中心課題になる可能性がある。もっともマケイン候補にとってブッシュ大統領と同じ考えを持っていると見られることが、選挙戦では不利に働く可能性も高いのだが。

連邦エネルギー情報管理局によると、米国の油田開発禁止区域の中に750億バレルの原油が埋蔵しており、その内160億バレルは海底油田だという。この「お宝」が政治のテーブルにあがるという訳だ。

マケイン上院議員の演説は今までマケインを仲間だと思っていた環境保護論者をカンカンに怒らせた。海底油田開発はオイル漏れと掘削時に排出される汚水が環境上大きな問題だからだ。

日本の新聞には今回の大統領選挙の行方を人種問題の切り口から判断しようとする見方があるが、今後選挙戦で問題になるのは経済や原油価格の問題だ。

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